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第724話

貯めていたドラマを横目に観ながらソファに横になる長岡は、傍に座る三条へと触れた。 「なぁ、遥登。 寒い」 三条は振り向くと同時に、じわっと顔を赤くした。 「はい」 火照っているかのような顔なのに、三条はどこか嬉しそうだ。 それもそのはず。 これは、合図。 身体や脚の隙間からソファ生地に膝を付きながら上に乗り上げてくる。 更に、手を差し出せば頬を擦り付けてくる。 可愛くてかわいくて、たまらない。 「犬みてぇ」 「犬が良いですか?」 「遥登が良い」 傍らのブランケット更にかけ、上へと抱き付いてくる。 サラサラした髪が顎を擽る。 お互いの心音が一緒になるような不思議な感覚。 そんなことすら、愛おしい。 「あったけぇ」 「俺もあったかいです」 ブランケットの上から細い身体を抱き締め、子供体温を堪能する。 だけど、清潔なにおいを上書きしたい。 ほんの少しだけ悪戯をした。

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