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第737話

本当ならもう少し寝ていたいところだが、反応が気になり次男と早くから待っている。 こういう時はスマホに限る。 なんとなく眺めているだけでも時間を経つ優れものだ。 炬燵で優登とゴロゴロしていると、寝惚け眼が顔を出した。 「おはよっ。 あ! はぅと! ゆーと!」 「綾登、おはよう」 「はーよ」 「あっ!」 眠そうな目が、急にキラキラ輝いた。 部屋の一片を指差し、小さな足がペタペタと床を駆ける。 まるでキラキラした足跡が見えるようだ。 隣に寝転ぶ優登にも、そのキラキラが見えるよう。 「くっきー、ない! にんじん も!」 空っぽのお皿とヘタのところだけ残った人参。 牛乳も飲み干されている。 そして、お皿の隣には英語の書かれたメモが1枚。 「ねぇ、よんで」 「ん、良いよ」 わざわざ筆記体で書かれた物だ。 「綾登くんへ クッキー、とっても美味しかったです。 トナカイにも人参をありがとう。 喜んで食べているよ」 「ほんとっ!」 「うん。 綾登くんはとても良い子だったのでプレゼントです。 気に入ってくれると嬉しいです、だって」 「ぷれぜんと!」 スマホを翳し、自分の名前が書かれていることを見せると頬をふくふくさせる。 そして、プレゼントを手にすると 「みて!」 「良かったじゃん」 「みっちゃ! とーっと! みて!」 きっとサンタクロースも喜んでいるだろう。

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