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第761話
サンタクロースの笑っている真ん丸のケーキ。
切り分けることなく、フォークを突き刺す。
「ほら、口開けろ。
でっかくな」
「……いただきます」
あー、と口を開ける、この顔がまた良いんだ。
照れと羞恥の混ざった顔。
そこに、食事の──ケーキの美味しさが加わって、なんともいえない顔をする。
この顔見たさで餌付けているところも正直ある。
「美味しいです」
「じゃあ、もう一口」
三条は贅沢だと言うが、1年に1回。
たまの贅沢だ。
いや、誕生日に会えるなら年に2回だが。
だが、正しく生きている子にそれくらいのご褒美を与えたって良いだろ。
ずっと正しくいられることは褒められることだ。
例え、誰も褒めてくれなくなって。
そうでなければ、この世界は成立しない。
善人が誰かを思いやれるから多くの人が暮らしやすく生きれているんだ。
甘やかしたって良いだろ。
もぐもぐと頬袋を動かす恋人を眺めながらコーヒーを飲んだ。
「俺ばっかりではなくて、正宗さんも食べてください」
「食うくう。
けど、遥登が最優先だろ」
「良い顔でイケメンなセリフ言わないでください…。
照れます…」
「なぁに照れてんだ。
見飽きるくらい見てんだろ」
「この顔を見飽きる人って居るんですか…」
「俺の親」
また1口大きく掬うと、口元へと運ぶ。
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