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第763話
美味そうにケーキを食べる三条を眺めなら飲むコーヒーはいつもより美味い。
好き相手が居るか居ないかで味覚が分かったら大変だが、いつもより美味い気がするのは事実だ。
それだけ三条に気持ちが満たされているんだろう。
誰かと食べるから飯は美味いんじゃないない。
三条と食べるから飯は美味いんだ。
似ているが、全然違う。
準備室で他の職員と昼飯を食べている時より、三条とこうして食事を摂っている時の方がうんと美味い。
例え、それがコンビニのおにぎりでもだ。
なにを食ってもとても美味しく感じる。
行儀悪くソファに寄り掛かりながら、また1口コーヒーを飲んだ。
「遥登って、味に飽きたりしねぇの?」
「あー、味変的なのはしますよ。
けど、普段から大量に食べてる訳ではないので」
「そのケーキは?」
「このサイズなら平気です。
甘いですけど、コーヒーもありますし」
三条にしては珍しく甘くないコーヒーで良いと言った理由は、これだろう。
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