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第764話
ソファからずりずりと身体が落ちていき、床に頬をつける。
それに気が付いた三条はフォークをとめた。
本当に律儀な子だ。
「眠いですか?
でも、風邪引きますよ」
「んー、なら」
寝て良いと言われたなら眠れそうだが、眠い訳ではない。
だけど、折角だ。
手を伸ばすと、恋人の顔が和らいだ。
あぁ、好きだ。
愛おしい。
そう、思うには充分の顔。
この顔が見られるだけで、胸の奥の1番やわらかいところがあたたかくなる。
「嗽してきます」
これも三条らしくて好きだ。
トトッと小走りでシンクへ向かうとすぐに戻ってきた。
そんなに急がなくたって逃げやしない。
というか、ここが家だ。
ずっとここにいる。
「お待たせしました」
「ん」
再度手を伸ばすと嬉しそうな顔が隣に寝転ぶ。
更に手を伸ばし、ソファの上からブランケットを引き摺りおろして、身体に巻き付けた。
「贅沢ですね」
「たまには良いだろ。
遥登も勉強頑張ってるしな」
「へへっ」
髪を撫でるように頭を撫で、あやす。
そうして次第にとろとろしてきた目に、声をかけた。
夢の中でも一緒にクリスマスを祝おう。
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