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第768話

結局、焼き芋はハンディファンで冷ますことにした。 熱々が美味しいのも分かるが、ねっとりとした熱さは大変危険だ。 上顎が剥けてしまう。 まして、綾登となると殊更だ。 冷ますのを待ちながら綾登は牛乳を飲む。 「ぷは」 口の周りを白くし可愛らしい。 それを着ている服の袖口で脱ぐうので、長男は眉を下げた。 あまり行儀が良いとは言えない。 けれど、気持ちも分からなくはない。 とりあえず、ウェットティッシュを一枚引き抜き綾登の前に差し出した。 「おいも、たべれる?」 「もう良いかな。 真ん中のとこ熱かったら、また冷ますから教えてな」 「いたらきます」 半分に割ったので冷めるのも早い。 だけど、中心部は熱を持ったままかもしれない。 気を付けてなと念押しをしてから小さな手に手渡した。 末っ子が、大きな口で齧り付くと顔がパッとかわった。 「あまぁい」 「じゃあ、俺も食おう」 一緒に冷ましていた分に齧り付くと確かに甘くてホクホクしていて美味しい。 これは当たりの芋だ。 「美味しな」 「なっ!」

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