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第775話

「何回頭下げるんだっけ?」 「2回。 手も2回で、最後に一礼」 宮司がお祓いをしてくれている前で頭を下げる。 それから、パンッパンッと柏手を打つ。 信心深い訳ではない。 デートを除けば、神社に足を運ぶこともほぼないような生活をしている。 寧ろ、無信教だと思っている。 だけど、年末年始にはこうして神様に挨拶をしたり、異文化のお祝いをしたり、逆に八百万の神を頭のどこかで信じているからこその文化なんだと思う。 厄年が良い礼だ。 厄年の当たる年齢になれば、身体に変化が訪れる。 年齢的なことや、体調的なこと。 仕事関係の重圧や出産に関すること。 しかも、その年期は前厄、本厄、後厄で3年。 1000日程もあれば、なにかしらの変化があるのは当たり前だ。 ダラけていないで気合いを入れ直しなさいという意味なら頷ける。 それでも、例えそれが藁だとしても、こうして神社に赴き、お参りをするのが日本人だ。 そんな日本の文化も好きだ。 昨年はありがとうございました 家内安全、交通安全 それから、優登と綾登が元気でいられますように 本当に叶えたいことは自分の力で叶えたい。 まぁ、これに関してはここ6年程毎年の願いであり、そして、すぐに叶うのだが。 「終わった?」 「ごめん、長かったな」 「んーん。 俺達も今終わったとこ」 「うん。 御神籤引こう」 次の人に場所を譲りつつ、人波を一瞥する。 いつの間にか波に並んでいた。

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