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第779話
「手ぇ握っても良いか?」
「はい」
寒い中歩いて来た三条の手に触れると、あたたかい。
子供体温だから……ではない。
しっかりとあたたかい。
握った手、その親指で甲をそっと撫でる。
「あったけぇな。
外にいたからもっと冷てぇと思ってた」
「あぁ。
弟がホッカイロくれたので、握って来ました」
「そうだったのか」
「正宗さんもあったかいです」
「だろ。
遥登が良いのくれたからな」
あったかいならなによりだ。
三条からのクリスマスプレゼントの電気式ホッカイロのお陰で快適な日常生活をおくっている。
だから、冷たいのならばあたためたいと思ったのだが、その必要はなさそうだ。
「けど、正宗さんの手の方があったかいです」
ぎゅっと握り締めてくれる三条。
なぜ手に触れたのか理解しているのだろう。
本当に頭の良い子だ。
そして、とても優しい。
「お茶も、嬉しいです。
ありがとうございます」
どっちが大人か分からない。
けれど、三条らしくて良い。
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