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第786話

ソファの前に腰を下ろすと大判のブランケットを三条にかける。 そして、自分も潜り込むと、クリっとした目がやわらかく細められた。 柏や蓬の愛情表現にも似ているそれ。 つい、愛猫にしていたように顎に手を伸ばしてしまう。 「お強請りか。 可愛いな」 へちゃっとした毒気ない顔をすりすりと撫でる。 仕事の疲れも、人間関係のモヤモヤも消化されていく。 連休に恋人の組み合わせは至極だ。 このまま抱き締め体重をかけると、三条は更に嬉しそうな顔をする。 今日は甘えたい気分なのか、されるがままに甘やかされている。 ついでとばかりにケツに触れても嫌がらない。 これは、大変楽しい。 「蜜柑食うか」 「良いんですか?」 「当然だろ」 卓上に置かれた蜜柑へと手を伸ばし、平べったい物を選ぶ。 「ほら、平べったいやつ」 「ありがとうございます。 一緒に食べましょ」 飲み物に蜜柑、新刊まで揃っている。 本当に今日は堕落した1日を過ごせる。

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