788 / 984
第788話
ローテーブルいっぱいに飯が並ぶ。
手巻き寿司のネタに米。
すまし汁に惣菜まで並べ、更にお茶の入ったマグ。
これがまさか、一人暮らしの部屋だとは思えない量だ。
だが、この量を並べることが出来るのは食べることの好きな恋人のお陰。
まさに三条様々だ。
「沢山ですね」
「正月だからな。
遥登の教採合格のお祝いもしたかったし」
「そんなこと考えててくれたんですか…?」
「考えるだろ。
俺の自慢の遥登だぞ」
グリグリと頭を撫でてる。
「へへっ」
なんだか今日の三条はいつもに増して素直だ。
食い頃というか、なんというか。
そういう雰囲気にもっていっても甘えてくるだろう。
少しだけムラッとしてしまう。
だけど、まずは飯だ。
三条が嬉しそうな顔で待っている。
「いただきます」
「いただきます」
新年から2人で手を合わせて飯を食える喜びも相まって、頬を緩んで仕方がない。
「なに食う?」
「たまご焼きと…、目移りしちゃいます」
「だよな。
鰤も美味そう」
隣の顔を見ているだけで胸が満たされていく。
改めて、好きだと思うし一緒に生きていきたいと思う。
そして、美味い飯を沢山食べさせたい。
「んーっ!
美味しいです!」
「ははっ、口パンパンじゃねぇか。
詰まらせんなよ」
「気を付けます」
ともだちにシェアしよう!

