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第789話
なにを食っても美味い。
すまし汁も手巻き寿司も、惣菜も。
より多くの種類の惣菜が用意されていたり、刺し身の盛り合わせが並んでいたりと、正月らしかったスーパーだが、その会計もなんもと正月らしいものだった。
それでも、この顔を見るとそんなものは小さなことだ。
苦労は苦労と思わなければ、苦労にはならない。
「この蛸、美味しいです」
それにしても、この顔があれば飲み続けられそうだ。
実際には、三条を送り届けたいので飲まないが。
それに関しては、今後に期待だ。
以前ほど飲まなくはなったが、やはり酒は好きだ。
飲まなくなった理由も買い物の頻度が減ったから。
買い溜めることもせず、たまに買ってたまに飲むという感じだ。
飲む量が減ったことの恩恵は、まったく自覚がない。
「お、マジで美味いな」
「正宗さんの好きそうな味です」
「ん、好きすき。
遥登は、こっちが好きだろ」
「はい。
好きです」
「沢山食え」
手巻き寿司をまた1つ巻き、口にする。
なにを食べても本当に美味い。
新年早々、穏やかでしあわせな時間だ。
そして、少しでも三条のお祝いが出来ていたら嬉しい。
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