793 / 984
第793話
ドキドキしたまま最寄駅まで送ってもらい、そこから歩いて自宅へと帰る。
帰宅すると、早々に三男が飛び付いてきた。
「おかえりぃ」
「ただいま」
「あそぼー」
「待ってな。
靴脱いで、手洗ったら遊ぼう」
脚にしがみつく弟に気を付けながら靴を脱ぐ。
いつものことなので、三条も慣れたものだ。
この愛情行動の強さは次男にそっくり。
つまりは、大元である父親の行動力だ。
なんというか、すごい遺伝子だと思う。
引っ付き虫と化した綾登と共にリビングへと入ると、次男の姿がない。
「優登は?」
「おへや」
「綾登はお絵かきしてた?」
「ねてた」
「寝てたのかぁ。
夜寝れるかな」
「ねれるよぉ」
大好きな兄が帰宅したことが嬉しいのか、もうべったりとくっ付き離れない。
手を洗い、嗽をする際もだ。
それもよくあることなので、三条も気にせず動く。
コートを脱ぎ、リュックと共にソファの脇に置いた。
マフラーと外し、マスクを捨てる。
そうしてやっと炬燵に潜り込むと隣に綾登が寝転んだ。
「うれし」
「うん?
なにが嬉しい?」
「はうといるの、うれし」
にこにこの顔で言われ、胸がきゅんっとする。
「えー、好き」
「あーとも、すきぃ」
むちむちの頬を撫でくり回していると、漸く次男が現れた。
ともだちにシェアしよう!

