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第798話
暫く3人で遊んでいると、食事の支度をしていた母親の声がかかる。
「綾登、海老フライ出来たよ。
ご飯食べよう」
「あーいっ!」
嬉しそうに弾む声が兄達を呼ぶ。
「ごちそ!たべよっ!」
「はいはい」
「海老フライとなにかなぁ」
「ちゃんむし」
「茶碗蒸しか。
綾登好きだもんな」
机の上もそのままに、手洗いをしに台所を覗くと沢山のご馳走が美味しそうな湯気をたてている。
からあげと海老フライにタルタルソース。
手鞠寿司に煮しめと言った正月らしい物もある。
その中から椎茸を摘まむと口に放り込んだ。
「あ!」
それを目撃した三男も食べたいとばかりに口を開けた。
その隣で優登が蓮根をつまみ食いする。
つまみ食いはバレている。
母親にもだ。
にこにこしながらその皿だけを残して、他の料理をテーブルへと運んでいる。
「なに食いたい」
「おにく!」
「あー」
「あーっ」
ひょいっと口に入れてやると、にっこにこしながら噛み締めている。
つまみ食いが1番美味いのを既に覚えてしまっているが、まぁ良いか。
「綾登、美味しい?」
「うんっ!
とっても!」
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