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第805話

手洗いうがいを済ませ、炬燵に潜り込む。 雪の降るところで生まれ育っているので、雪自体はなんてことはない。 雪が降れば──降らなくても、寒いのは当然のこと。 コップを逆さにしたら水が溢れるくらいに当たり前のことだ。 だが、寒いものは寒い。 その事実はどうやったってかわらない。 暑い冬なんて、それは夏とはなんだという哲学的な話になってしまう。 柏と蓬と共に、ホットカーペットに溶けながら、テレビを眺める。 面白いかも分からない。 実家に来たからといってすることがある訳ではない。 愛猫達のご飯とトイレの為だ。 それと、読み終わった本を部屋へと置きに。 新年の挨拶をしになんて利口なものではないが、事前に連絡を入れたことだけは褒められても良い。 だが、すべきことがない状態というのは正月らしくもある。 三条が祖父母の家へと挨拶に行くから、たまたま今日帰ってきた。 だけど、良かったとも思う。 野良には戻れないとばかりの安心しきった格好をしている蓬を揉む。

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