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第817話
雪だるまの手と言えば木の枝だ。
だけど、丁度良い木の枝はない。
折角の庭木を手折ることもしたくはない。
寒さにジッと絶え、春をまっているんだ。
なので、木の枝のかわりに割り箸を刺してみる。
これはこれで、愛らしさがある。
「かあいー」
「気に入った?」
「すきっ」
目は雪を掻いて見付けた石。
綾登のお砂場セットのバケツの帽子を被せて完成だ。
帽子を被せるのに抱き上げた弟は、嬉しそうに笑っている。
「できたね」
「出来たな。
完成したから、雪だるまと一緒に写真撮ろうか」
「うんっ」
出来上がった雪だるまの前で格好良いポーズをする綾登を写真に収める。
加えて、自分も写った自撮り写真も。
「父さんにも見せよっか」
「うんっ」
仕事で不在の父親に写真を送ると、今度は小さな雪だるまもつくっていく。
もっと雪質が良ければ形も良く出来るのだろうが、生憎この辺りで降る雪はベタ雪だ。
水分を沢山含んでいて重い雪。
そんな雪でつくる真ん丸は、丸と言うより多角形だ。
けれど、綾登本人は満足そうなので構わない。
「みっちゃ!
できたよぉ」
「出来たの?
見るの楽しみ」
「ひひっ」
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