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第818話
優登や綾登の冬休みが明けて、またいつもの日常がはじまった。
そのいつもの日常も、この春まで。
そうなると、それはそれで少し寂しく思えてくるから不思議だ。
「あ、そうだ。
今日、大学に用事があって行くんだけど、放課後予定なきゃ迎えに行くけど」
「なに?
まだ誘われてんの?」
「今回は提出物もあんの」
「ほら、“も”って言った」
「だから、弟の迎えがあってって断りやすいだろ」
朝ご飯を食べながら、優登を誘う。
院に誘ってもらえるのは有り難いことだ。
こんな時なので、それも1つの選択肢としてスペシャルカードだとも思う。
けれど、やはり夢はキラッキラのSSRなんだ。
「なら、お願いする」
「じゃあ、放課後行くな。
駅前が良い?」
「裏のコンビニでも良い?」
「うん」
真っ赤な苺ジャムを塗ったトーストを噛りながら話していると、牛乳髭をつけた三男が声をかけてきた。
「あそぶの?」
「遊ばないよ。
優登のお迎えに行くだけ」
「おむかえ、いっしょだね!」
「俺は1人でも帰れるけどな」
「おにーさんだね」
「ふふっ。
お兄さんだね」
牛乳を拭かれると、まだぷくぷくの頬の肉が揺れた。
大変可愛い。
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