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第819話
コンビニで買い物をしていると、ドンッと隣からぶつかられた。
「お待たせ」
「待ってねぇよ」
「今来た?」
「うん。
さっき」
制服を着た次男は、なんだか家で見るより大人びて見える。
家では普通の弟に見えるのに不思議だ。
「あ、俺もなんか買お。
腹減った」
「買ってやるよ。
好きなの選びな」
「やった。
なんにしよっかなぁ」
これが、長岡が言う「ゆっくり大きくなれよ」なのだろうか。
あっという間に成長していくを、もっと見ていたい。
少しも取り零したくない。
もし、この気持ちと似ているなら、“家族”と思ってくれているんだ。
擽ったくて、嬉しくて、ほんの少しだけ寂しくなる。
旋毛を見下ろしながらそんなことを思った。
「俺、腹減ってるからサンドイッチにしよ」
「え、サンドイッチも良いの?」
「好きなのっつったろ。
好きなの選びな」
「んじゃ、甘いパンにしよっ」
お茶を2本を手に取りサンドイッチを選ぶ。
ご飯前だが、この量ならおやつだ。
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