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第824話

インスタントのコーヒーにお湯を注ぐと台所の隅にある椅子に腰掛け、作業を眺める。 少しずつ出来上がっていくケーキは面白い。 「見てて楽しい?」 「楽しい。 どんどん出来てんなぁって」 「そういうもん?」 「動画でもあんだろ。 作っていくのを倍速にしたやつとか」 「あー…」 ナッペの動画やクリームを絞るだけの動画も。 マニアックだと思いながらも、魅力的なのもまた事実。 それに、目の前の物は実際に食べることが出来る。 興味は増して当然だ。 「ナッペ上手いな」 「残ったクリーム食いてぇの? 褒めてもそれくらいしかあげらんないよ」 「え、くれんの?」 「残ったら良いよ。 多分、余るし」 「やった」 クリームをそのまま食べるのも良いが、どうせならパンにのっけたい。 けれど、今、自宅にあるのは予備用の冷凍した物だけ。 トーストした物にクリームを塗るか。 それとも、コンビニまでアイスを買いに行ってアイスの上にのせようか。 どちらもしあわせになれること間違いなしだ。 どちらにしようか、とても迷う。 大変、迷う。

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