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第825話
カシャカシャとシャッターを切りながら、ボトムスが引っ張られる感覚に視線を下げる。
小さな頭がぴょんっと、布を引っ張っていた。
「みたいっ」
「おんぶ?
だっこ?」
「だっこっ」
スマホを優登に持っててもらい、綾登を抱き上げる。
すると、すぐに、わぁ…っ!と感嘆の声が漏れた。
これは、分かる。
びっくりするほど良い出来だ。
「すごい!!」
「すごいよな!
3段だぞ」
末っ子は指を3本立てて兄に見せる。
「すげぇじゃん」
「たべていーい?」
「後でな。
記念撮影しとかねぇと」
記録用の写真という意味だったのだが、末っ子は今度は格好良いポーズをした。
「どーどー」
「ちげぇ…」
「ははっ、撮ってやれよ」
ついでに三条もピースをすると、末っ子の頭のそっと乗せた。
そんなことも知らず、綾登はにっこにこ。
「おー、かっけぇ」
思ってもいない声と共にシャッターが切られる。
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