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第833話
寒天の下、2人でコンビニのコロッケを頬張る。
デートとは名ばかりの、色気もない行為だ。
だけど、本当にそうなのか。
しあわせは、他人が決めることではない。
自分の心が感じるものだ。
「美味しいですね」
「美味いな。
やっぱ甘いもん食ったらしょっぱいのだよな」
「永久機関です」
「遥登が言うとマジに聴こえんな」
サクサクしたコロッケにあまじょっぱいソースをべっとりつけて食べるのも美味い。
しっとりした惣菜コロッケも美味い。
冷凍品だって。
そのままでも、ご飯のおかずでもなれる優秀さ。
パンに挟む以外にも、蕎麦に入れて食べる人や、たまごでとじて丼にする人だっている。
もしかしたら、コロッケはどんな姿にもなれるマルチプイヤーなのかもしれない。
本当に美味しそうに頬を膨らませるから、これが100円で見れるのなら安いものだ。
今はカプセルトイだって100円のものは中々みかけない。
「いつでも買ってやる」
「正宗さんと一緒に食べたいです」
「ん。
俺も食うよ」
細められる目に気持ちが込み上げる。
目にすることが出来るしあわせのカタチだ。
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