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第836話

次男の後ろを歩いていると、見慣れた景色になっていた。 先日も訪れたばかりの神社だ。 「神社? 綾登、ここに来たかったのか?」 「なむーする」 「南無じゃねぇよ。 お参り」 「おまぁするっ」 だって、と続けられる舌足らずな声。 「はう、がんばるよ。 だから、するの」 もうすぐある学校長達との面談。 それを指しているのはすぐに理解した。 こんな小さくても、誰かを願う気持ちを持っている。 兄バカだとしても、本当に優しい弟達だ。 「誰に聞いた? 優登?」 「ゆーと! かっちゃと、りゅーちゃも」 「田上と吉田? なんで?」 「あぁ、俺、友達だから」 いつの間にか、弟と友人達が友達になっていた。 それに、自分抜きで通話をしていたらしい。 大好きな弟と、大好きな友人達が仲良くなるのは嬉しい。 けれど、なんか複雑な気持ちもある。 どうせなら、自分も田上吉田と話したかった。 それはそれでこれはこれだ。 「なむーするといいよって」 「お参りな」 「おなまえ、いうんだって」 「で、お願いが叶ったら?」 「おれまいり!」 「なんかちげぇ…」

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