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第839話
「これで、卒業式まで暇だな。
良いバイト知ってんだけど、しねぇ?」
そんな言葉に釣られて、訪れたのは真っ昼間の長岡の部屋。
合鍵を使い、室内に入る。
「お邪魔します…」
誰もいない部屋は、火の気もなく冷える。
玄関からリビングまでの短い廊下を歩くだけで靴下を貫通して冷たさが足から体温をウバウ。
暖房は必ず使えと念押しされているので、暖房器具を稼働させた。
“良いバイト”それは、この部屋の掃除や洗濯、作り置きの作成や本棚の整理だ。
特に本棚の整理は、掃除を兼ねてして欲しいと頼まれている。
教師なんてブラックな仕事だ。
それは長岡を見ていれば、分かることだ。
17時15分の定時なんてあってないもの。
学校行事前やテスト前後には20時を過ぎてからの帰宅も珍しくはない。
あれだけ要領の良い長岡でさえだ。
まずは掃除するか
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