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第845話

手洗いうがいを済ませ、スーツから部屋着へと着替えると、より美味そうなにおいが濃くなった。 「お、焼き魚。 しかも、焼き立て。 最高かよ」 じゅわわっと自身の脂を滲ませ、焼き上がる魚。 簡単に惣菜で済ませる時にもなるべくあたためはするようにしているが、魚はあたため直しより焼き立ての方が抜群に美味い。 「正宗さん、魚好きですね」 「1人だと簡単なのになっちまうからな。 自分の為に飯をつくるってあんましねぇよな」 コンビニやスーパーで惣菜を買い、レンジ加熱の米とインスタントの味噌汁なんてよくあることだ。 スーパーの惣菜は美味いし調理用具の後片付けもしなくて良いので、惣菜様々だ。 「運んでも良いのか?」 「はい。 あ、すみません」 盛り付けられた物からローテーブルへと運び、僅かでも身体を動かして空腹を誘う。 そんなことをしなくても、三条の飯は美味いのだが。 「ご飯、どれくらい食べますか?」 「俺が盛る。 遥登は軽くで良いんだよな」 「はい」 帰宅してからも晩飯を食べる三条は軽く、ふんわりと茶碗に米をよそった。

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