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第849話
長岡の胸に背中をくっ付け、後ろから回ってくる腕を見る。
いつも見ている腕だ。
なのに、急に意識してしまう。
「ベルト外すぞ」
「…は、い」
自分のものではない手が、慣れた様子でベルトを外した。
次にフロントボタン。
そして、チャックがおろされる。
ウエスト周りが楽になると、下着ごとボトムスがずらされた。
思わず長岡の腕に手を重ねてしまう。
「嫌か?」
「…きんちょ、します…」
「気持ちいことしかしねぇよ」
鼓膜を震わせる甘い声。
「手、冷たくねぇか」
「だ、いじょぶです」
「ブランケット、暑かったら言えよ」
「…ん、」
緩く芯を持ちながらも、 まだやわらかなソレが大きな手の中に隠される。
背丈は同じくらいになったのに、やはり手も長岡の方が大きく感じてしまう。
その手が、ゆっくりと握ったまま上下される。
「ぁ…、」
気持ち良い。
好きな人に触れられているだけで、脳天を突き抜ける快感が広がる。
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