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第859話

「遥登」 長岡が身を屈めてきた。 イきそうなのだろうか。 腰を少しだけ上げて耳を近付けると、掠れ気味の声が鼓膜を震わせた。 「今度、覚悟しとけよ」 「…っ、」 細められる目にドキンドキンと心臓が痛いほど早鐘を打つ。 離れていく顔は雄のそれだ。 やばかったかと思っても、既に後の祭り。 自分のしたことに責任を持つしかない。 返事が出来ないかわりに、手を動かすことを再開した。 どんどん堅さが増していき、大きくなっていく。 更に玉も揉めば、長岡の顔が男くさく歪んだ。 「いいな…、それ」 「……良かったです」 ここで精子がつくられている。 孕ませたいって。 こんな綺麗な顔の人でも、欲がある。 見上げた先で絡んだ視線はほどかない。 そのまま手を動かし続けた。 「…イきそ」 「出してください…」 「ん、」 目が細められたかと思うと、手の中がビクビクッと跳ねた。 骨に皮が貼り付いたような手に白濁が塗れる。

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