862 / 984
第862話
素直に隣に座る三条。
やはり、セックス後は特に素直だ。
「今日のレシートは?」
「レシート…?」
「寄越しな」
手を差し出すと、三条は渋い顔をする。
まさか、学生に食費を出してもらうなんて出来やしない。
デートでとかならまだしも、日常の範囲だとどうにも抵抗がある。
「……捨てちゃいました」
「本当かぁ?」
「…………ほんと、です」
「へぇ?」
バレバレの嘘だからこそ可愛いが、金銭面はしっかりしなくてはいけない。
それが例え恋人でも、家族でも。
寧ろ、大切に思う相手だからこそきっちりしたい。
長く関係を続けたいからだ。
「じゃあ、バイト代。
飯も美味かったし、本棚も綺麗になってる。
助かったよ」
「いえ。
これくらい、いつでも言ってください。
バイト代もありがとうございます」
「お礼を言うのは俺だよ」
少し生々しいが、バイト代の入った封筒を手渡した。
ともだちにシェアしよう!

