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第863話

「正宗さん、いつも多くくださいますよね…」 「そうか?」 「…ありがとうございます」 するりと腕が回ってくると腹に抱き付かれた。 いつもに増して素直だ。 その頭をポンポンと撫でる。 「多くくださるからじゃないですよ。 けど…、色々と考えてもらっているんだなって思います」 「考えてるよ。 そりゃ、人生交換したし」 あの日から3年が経った。 けれど、今も指輪はキラキラと美しく輝いている。 三条が丁寧に扱ってくれているからだろう。 好きになった子はそういうことが出来る子だ。 「学生の内だけだしな」 「正宗さんなら、俺が社会人になってもしそうです…」 「それはそれで受け取ってくれりゃ嬉しいけど」 「甘やかし過ぎですよ」 ふにゃっと笑いながら言うが、甘やかしに甘やかして自分なしじゃ生きられないようになれば良いのにと本気で思う。 本当にそうなれば良いのにな。

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