864 / 984

第864話

「ただいま」 「おかえりっ、どうだった?」 帰宅するや否や、弟達が廊下へとやって来た。 そりゃそうか。 今日は、面談の日だ。 つい先程まで、採用される先の校長達との面談だった。 気になるのは頷ける。 「んー…」 「はう、じょーず に できた?」 「んー…」 靴を脱ぎながら、チラッと弟達の様子を伺うとソワソワしている。 校長達との面談があると知り、朝も応援をしてくれた末っ子。 こういう時は甘いもん!と食べやすいスティック状のチーズケーキを作ってくれた次男。 もう少しこの顔を見ていたいが、心配をさせたいわけではない。 「まぁ、話せたよ」 「すごいねぇ!」 よしよし、と頭を撫でる小さな手は、母親にそっくりだ。 「これで、後は気儘に待つだけだな」 「気儘なのか…?」 「なぁに?」 「んー、と、自由に?って意味かな」 ふぅん?と興味なさそうな声をさせると、おんぶとばかりに背中に上ってきた。 その身体を気にしながら立ち上がる。 「たかい!」 可愛いから、つい甘やかしてしまう。

ともだちにシェアしよう!