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第876話
「ラーメンっ、ラーメンっ」
辺りが暗くなってくると、スーツ姿の大人が増えた。
それから、制服を着た学生達。
昼間の賑やかは、また別の賑やかさへとかわる。
そんな声の響く街を歩くのも久し振りだ。
いつもなら、弟達とダラダラと過ごしている時間。
恋人の部屋にいる時なら、長岡の帰宅を待っている時間。
なんだか久し振りの時間帯にワクワクしてくる。
「動いたから腹減ったよな」
「三条はなにもしなくても腹減るだろ」
「頭フル回転だもんな」
「え、なにそれ?
悪口?」
「ちげぇわ」
目当てのラーメン屋に入店すると、独特の脂っぽいにおいがする。
ニンニクと葱、焦げた香ばしいにおいも。
美味そうに麺を啜る人もいて、店内は忙しそうだ。
入ってすぐの食券機に足を止めると、食べると決めていた物を選択していく。
「あ、チャーシュー追加で」
「おん」
「味玉も」
「おん」
「ははっ、優登そっくり」
「優登が、俺に似てんだよ」
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