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第878話
「あー…帰りたくねぇ」
「分かる。
楽しいと時間あっという間に過ぎるよな」
わざとゆっくりと歩きながら駅へと向かう。
また会う約束をした。
吉田の引っ越しを手伝い、蕎麦を食べる。
けれど、今は今でとても楽しい時間だ。
みんなそう思っているのが伝わってくる。
意味もなく会えたはずが、そうではなくなったことを誰も口にはしない。
けれど、やっぱりそれが少し寂しい。
「あ、俺、水欲しい」
「コンビニ寄るか。
三条も行こうぜ」
しょっぱい物を食べたら、やっぱり甘い物だ。
別腹もキチンと満たさなければ。
入店するとまっすぐにアイスコーナーへと向かった。
「三条、アイス?」
「うん。
田上も食う?」
「良いな。
月見大福食いたい」
「アイス?」
水を手にした吉田がひょっこりと顔を出すとピコを手に取った。
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