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第884話
手洗いを済ませた長岡と一緒に寝室へとやって来たが、特にすることもない。
定位置で待っていた方が良かったのだろうか。
だけど、これからセックスをするのなら…と淡い期待もある。
ソワソワと手持ち無沙汰でいると、それに気が付いたらしい長岡が声をかけてきた。
「入れたばっか?」
「…正宗さんから連絡がくる、少し前からです」
「平気か?」
「……はい」
電源が入っていなければ、異物感だけだ。
平気と言えば平気だ。
そんなことより、着替えている長岡の方が……えっちだ。
はだけた素肌にセックスの甘さを思い出してしまう。
蕩けるほど甘くて、激しくて、すごい。
頭が馬鹿になるほどの衝撃がたまらない。
ゴクッと生唾を飲み込むと、着替え終わった恋人か振り返った。
「お待たせ」
いつものラフな格好だ。
だけど、装飾の少なさがより顔立ちの良さを引き立てる。
「セックス、どこでしてぇ?
ベッド?
ソファ?
それとも、ベランダ?」
わざとらしい視線。
煽って楽しんでいると分かる顔だ。
だけど、それすら嬉しい。
画面越しではなく、目の前で直接見れている。
それに、当たり前のことだがこの部屋は長岡のにおいでいっぱいだ。
それだけで、期待に軽く勃起してしまうほど。
「…ベ、ッドが、良いです…」
「俺のベッド?」
そう言われ、つい視線をそちらへと落としてしまう。
起き抜けのままのベッド。
長岡のにおいの染み付いたベッド。
何度もセックスをしてきたベッド。
「なぁに、想像してんだ」
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