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第894話
ボヤける視界で手を伸ばし、手首に触れた。
「おねが…しま…」
長岡が自分を見ているのが分かる。
こんな身体を見られることはいまだに慣れない。
やっぱり恥ずかしい。
けど、長岡だから見せられる。
それもまた事実だ。
「ください…」
こんな恥ずかしいことを言うのだってそう。
長岡しか嫌だ。
「ゴムするから、もう少しだけ待てるか」
「…はい」
再導入チェストから取り出された避妊具。
別にいらないのにな、と心の中では思っても口に出さない。
だって、それは自分を守るためのものだから。
子供だからこそのお守りだ。
パチッとゴムの伸縮音が聞こえると身体に影が重なった。
「入るぞ。
息、詰めんな」
宛がわれる熱の大きさに、ゆっくりと息を吐いた。
緊張してしまう。
内臓を圧迫されて呼吸が乱れる。
そんなの当然なんだ。
何度セックスしたってそうなんだから。
その事実を抱き締める。
「……ぁ…、ぁ……」
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