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第908話

船を漕ぎはじめた頭に時計を見ると子供の昼寝の時間だ。 子供の容姿ではないが、同じようなもの。 今日は甘やかして欲しいらしいので、とことん甘やかす。 髪の毛が乾いたことを確認し、ドライヤーもそのままに三条の身体を寄り掛からせる。 すると、眠気もあり後頭部を擦り付けてきた。 これはガチ寝するな ソファに置かれたブランケットに手─ほぼ指を伸ばしてなんとか手繰り寄せる。 それを三条にかけふと、ゆっくりと身体を倒していく。 ゆっくり、ゆっくりとだ。 大きく動けば三条の遠慮が動いてしまう。 肘を付き、身体を倒していくも三条は眠気の方が勝っているらしくされるがまま。 時間をかけて身体を倒しきると、今度はスマホ と手を伸ばす。 帰宅時間前には起きなくてはいけないのでアラームのセットだ。 そうして漸く細い身体を抱き締める。 細くてあったかくて、同じボディソープのにおいがする。 毛先に触れていると、いつの間にか寝息が聴こえてきた。 早ぇ まぁ、あれだけイけば疲れるか 年の差が幼いと思わせるが、本当に良い歳のとりかたをしている。 真面目に頑張り、真面目に遊ぶ、そして夢を叶えて、まだ真面目に頑張ろうとしている。 本当に誇らしい。

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