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第911話

ぐぅーっと腹の虫が鳴いた。 勿論、自分の虫ではない。 「腹減ってねぇか?」 「……少し」 「食ってから帰るか?」 「でも…」 腹から腰へと手を回され、緩く抱き締められる。 三条にしては大胆な行為だ。 見下ろせば、ぽふっと服に顔を埋めた。 「甘えんのが先か。 沢山甘えてくれ」 頭を撫でる手を再開させつつ、反対の手で腰を抱く。 薄い腰だ。 腹が鳴れば手に振動が伝わりそうだ。 その腹をしこたま満たしてやりたい。 パンパンに膨らむ腹を三条は餓鬼みたいでコンプレックスだと言うが、そうしているのが自分だととても満たされるものがある。 勿論、三条が嫌なら無理にとは言わないが、美味そうに食ってくれる顔も、綺麗に食べきってくれる所作も好きだ。 また腹がなるが今度は撫でる手を止めない。 むしろ、このままもう一度寝かせたって良い。 子供を寝かし付けるように、ゆっくりと頭を撫で感心させていく。 「……寝ちゃうかも、です」 「良いよ。 アラームかけてるしな」 「でも、もっと一緒に…いたい…」 「ここにいるだろ」 「はい…」 返答がゆっくりになってきた。 なにかと忙しくなる年度末だ。 たまに昼寝ばかりをしたってバチは当たらない。

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