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第921話

すっかり定番となった駐車場から自宅までの短いデート。 今日はまだ深夜には早い時間だが、長岡が送ると言ってくれたので甘えることにした。 暗くなるのも早く、日が落ちると肌寒さも増す。 本当は、真っ暗になる前に自宅へ向けて発車していのだが、デートが出来て嬉しいのも本当だ。 ゆっくりと細い道を2人で並んで歩く。 「カレーのにおいがします」 「ほんとだ。 カレーのにおいだな」 細い路地だからこその近さに2人で笑う。 あたたかな家から漏れる灯りやにおい。 テレビの音。 そういうものの中を歩いていると、自分達の生活は誰かの生活と地続きで繋がっているんだなと考える。 担任を好きになり、元担任となった今でも恋愛感情を抱き付き合っている。 そんな、誰かにとってはドラマや漫画の中のことを実際にしている自分達の生活とも繋がっているんだ、と。 「また遥登の作るカレー食いてぇな。 でも、トマトのやつも美味かった」 「いつでも作りますよ。 俺も、正宗さんの作ってくれる野菜がゴロゴロのカレーが食べたいですっ」 「任せとけ」 これからも、今日と同じ日々が続く。 だけど、春故の変化を長岡は感じてくれている。

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