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第923話
「ただいま」
「おかえり」
コンビニへとアイスを買いに行っていた優登がリビングのドアを開ける。
あったかさに雪は溶け、自転車でシャッと行ってくるとの言葉通り、本当にすぐ帰ってきた。
こんな、あたたかな陽気の中食べるアイスは美味いだろう。
ニコニコと迎える三条に優登は手にした物を手渡した。
丁寧に持っていったエコバックはアイスだけではない膨らみをみせている。
アイスの他にお菓子も買ったのだろう。
覗こうとした頭に、更に言葉が続いた。
「それと、手紙届いてた」
三条はそれを受け取りながら聞く。
「ありがとう。
誰から?」
「偉い人」
「偉い人…?」
見なくても封筒で差出人が誰か分かった。
優登もそうなのだろう。
いつもなら直ぐ様行う手洗いうがいをせずに、隣に正座をした。
一応差出人を確認して、すぐに手紙を開封する。
確かに偉い人だ。
そして、すごく待っていた手紙。
取り出された紙は変わらず薄っぺらで軽い。
大切なことが書かれていないかのようにだ。
「…っ!」
文字の上に視線を滑らせ驚いた。
そこには奇跡のような現実が記されている。
「決まった?」
「うん。
決まった」
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