939 / 984

第939話

「俺も嬉しいです」 『んー、だろ』 大分ご機嫌らしく、にこにことしている。 只でさえ整っている顔にやわらかさが足され、ご褒美みたいな顔になっている。 ビターなチョコレートケーキの上に洋酒の効いたさくらんぼがのっているみたいな。 「スクショしても良いですか?」 『どうぞ。 今日はご褒美だからな』 ご褒美というか、運なのだけど良いか。 またファイルが豊かになる。 それは普通に嬉しいことだ。 『あとは?』 「え、動画とか…?」 『良いよ』 「ありがとうございます!」 ご機嫌様々だ。 三条も嬉々として撮影する。 「はぁ…、良いですね」 『おっさんっぽい遥登も良いぞ』 口元を隠しながらも、くくっと笑うのがまた格好良い。 というか、おっさんっぽい… 「どこ、ら辺がですか…?」 『良いですねぇの言い方』 「え、俺、そんか言い方でしたか?」 『してた。 すげぇ素みたいで良かった』 くつくつ笑うのもいつもと同じようでそうではない。 やっぱりご機嫌だなと思う。 そして、それが自分のことだと更に嬉しい。

ともだちにシェアしよう!