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第950話
「それにしても珍しいな。
全然起きねぇの」
「…へへ」
「なんかあったのか?
心配事とか、悩みとか。
蕁麻疹出る前に言えよ」
いつかのことを思い出し、申し訳なくなる。
あの時は、みんなが自分のことで精一杯だった。
自分は頑張っている。
自分は自由にしたい。
だから、悪いのは他者だ、と。
一方的に悪者にされることもあったのは事実だ。
それに加え、長岡と急に会えなくなったことなども重なり、身体が限界を訴えていた。
あの頃に比べれば、今は外出しても文句も言われず、こうして直接会うことも出来ている。
それに関してだけは文句はない。
「そういうのじゃなくて…。
夜中に目が覚めてから中々寝付けなくて散歩に行ったじゃないですか。
あれからも寝付けなくて…。
結局本を読んでたら朝でした」
「大丈夫か?」
「はい。
昼寝をしたらすっきりしました」
部屋着へと着替え終えた長岡はワイシャツを手に寝室から出てくる。
「ま、俺は寝顔見れて嬉しいけどな」
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