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第951話
「定時で帰れたし、遥登はいるし、最高だな」
「お手軽じゃないですか?」
「4月からは期待しても良いのか?」
顔を覗き込んでくる顔にきゅんとした。
学校での教師の顔も良いが、やっぱりこのオフの時の表情のやわらかさはたまらない。
ちょっと悪戯っぽくて、だけど大人の色気もあって。
4月からはこの顔を毎日拝めるんだ。
高校時代に戻ったかのようで、もっと近くにいられる。
よくよく考えてみたら、一緒に昼食を食べることも休日だけではじめてだ。
夢を叶えただけではなく、こんな贅沢なことまで許されるなんて考えもしなかった。
それに、恋人に、“同僚”という関係が追加される。
長岡との関係に、沢山の名前がある。
それが嬉しい。
1つひとつの関係もとても大切なものだ。
だが、増えるほどに更に太い関係になっていく。
教師と生徒会という関係が終わってしまっても、まだ恋人、恩師、目標、同僚と沢山の名前がおる。
「ほんと、頑張ったな」
大きな手がぐちゃぐちゃと髪の毛を搔き乱すように撫でた。
「運も良かったです」
「ははっ、確かに。
今から待ち遠しいよ」
そんな風に言ってもらえると、自分も嬉しい。
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