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第953話
「これ、なぁに?」
「ウィークエンドシトロン」
「いー?えん…とん?」
「レモンケーキ」
知ってる言葉に綾登は背伸びをした。
作っている物を聞いた訳じゃないな、と思ったが、まぁ良いか。
小さな声で、ばたー、と呟くと此方を見上げてきた。
「あーとも、つくる」
「んじゃ、ちょっと踊ってくれるか?
こう…元気が出るやつ」
「んっ!」
こっくりと頷くと、しゃかしゃかと手を動かしながら踊り始めた。
レモンを揉むのはしてもらったが、粉類が溢れたらめんどくさい。
粉だけは自分がしたい。
そんな勝手で、踊ってと言ったがこれは良い。
「…素直だな」
「ほいくえんのも、おどる?」
「お、良いな。
見たい」
粉類を震い入れ、さっくり混ぜながら踊りを眺める。
「おうたは?」
「歌も良いじゃん」
これは案外楽しいぞ。
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