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第958話
炬燵の隣に座ると綾登もいつもの場所へと座った。
先の丸いフォークを置くと、パチっと手を合わせる。
「いたあきます!」
大きく切り分けてから、これまた大きな口であーんっと頬張った。
「うまーい!」
「だろ。
てか、兄ちゃんも食えよ」
「ん?
食う。
いただきます」
1口目はグラス・オ・シトロンのかかった贅沢なところ。
綾登に倣って頬張ると、レモンの香りが口いっぱいに広がった。
甘くてほのかに酸っぱくて。
「んまい」
「だろ。
綾登」
「あ!」
差し出される優登のグーに、綾登は同じものをぶつけた。
そのやり方が某球団の監督に似ていて次男を見る。
「俺が教えた」
まぁ……、可愛いから良いか。
試しに三条も拳を差し出すと、またも監督に似た動きで手をぶつけてくる。
かっわいい…
「教えて良かった?」
「うん。
可愛いな」
「あーと、かあい?」
「可愛いよ」
綾登は満悦そうな顔でまたケーキを頬張った。
「で、なんでケーキ?」
「秘密」
「ひみつー」
なんだか今日は弟達がとても仲が良い。
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