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第960話
なんとなく、家が離がたい。
感染症がなければとっくに一人暮らしをしていたはずなのに。
2年も甘えてしまったのに。
「明日でも好きなときに食えば。
また作るし」
「チョコレートケーキも?」
「なに?
食いたい?」
優登は満足そうに笑った。
そりゃ、食いたい。
自分好みのケーキなのだから。
食べ納めというのは大袈裟だが、仕事がはじまれば、暫くは帰ってくるつもりはない。
勤務が20時に終わるとして、帰宅に20分 、無理な距離ではない。
ただ、今とは異なる時刻に帰宅し、家族の生活リズムを崩すのはしたくない。
それに、やっぱりいつまでも甘えていられないという意識もある。
「作るよ。
春休みで暇だし」
「ほんとか。
嬉しいな」
それでも、優登と離れてしまうのはやっぱり少し寂しい気がする。
優登が生まれてからずっと一緒に生活してきたんだ。
「明日は朝からゲームするか」
「ガチ?
嬉しいんだけど!」
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