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第961話
とりあえず今着そうな服と、本、教科書類を段ボールに詰めていく。
準備って難しいな…
なにが必要か、なにが不必要か。
ギリギリまで使うものはそのままだが、先に運んでも良いものは用意をしていく。
アルバムはいらない
写真は…迷うな
弟達との写真は非常に迷う。
スマホの中にあるが、こうして視界に入るから良いんだ。
だけど、ホームシックになりそうな気もするし。
「正宗さん、ホームシックってなりましたか?」
『ん?
俺がなると思うか?』
「蓬ちゃん達に会いたいとか」
『…まぁ、蓬達はな。
けど、そんなでもなかったな。
野良猫見ると、元気かとかは考えたけど。
それ以上に自由だしな』
尚更悩む解答だ。
『どうした?』
「弟達との写真、持っていこうか迷ってて」
『あー、写真か。
迷うな。
暫くこっちにいんなら寂しくなっても慰められるから持ってきたら良い。
大切なもんだろ』
「…はい!」
“大切”なもの。
必要か不必要かではなく、大切だから持っていく。
そうだ。
大切だから持っていたい。
「ありがとうございます」
『ん?
なにがだ?』
にっと笑って見せると、長岡はやわらかく微笑んでくれた。
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