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第963話
朝から兄弟でゲーム三昧。
こんなの春休みでなければ出来ない。
課題はしつつも、遊びもしっかりと。
休みって言うのはこうやって遊ぶ為の時間だ。
なので、優登と共に少しばかり遅い起床──とはいえ1度起きて保育園へと登園する綾登を見送ってからリビングで二度寝をした──をし、いつも以上にしっかりと睡眠をとって万全の状態だ。
暫くゲームを楽しんでいると、優登は蜜柑を剥きながら声をかけてきた。
「ねぇ、兄ちゃんの部屋に遊びに行っても良い…?」
視線を蜜柑から上げ、少し不安そうに言う。
「当たり前だろ。
少し遠くなっちゃうけど、いつでも来いよ」
「うんっ」
自分にとってはじめての一人暮らしだ。
だけど同時に、優登にとっては兄のいない生活になる。
産まれてからずっと一緒に生活していた家族が離れて暮らすなんてはじめてで、だからこそ不安と寂しさと恋しさが混ざっている。
「たまにはビデオ通話もして良い?」
「勿論」
「綾登も?」
「うん。
俺もする」
漸く、ぺちゃっと笑うのが可愛い。
そんなの言わなくて…と思うが、きちんと確認をとってから連絡をしようとしているのは優登の礼儀正しいところだ。
「お菓子作って持ってく」
「楽しみにしてる」
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