964 / 984

第964話

ゲームに集中していると気付きにくいが、腹が減った。 チラッと横目で見た時計は昼を指している。 「昼食う?」 「うん。 俺、作るから課題してな」 「ラッキー」 それなら決まりだ。 伸びをすると縮こまっていた筋肉が大きく動いて気持ち良い。 そのまま立ち上がると、膝がパキッと鳴った。 ついでに、あったかいお茶でも飲もうと、僅かしか残っていないお茶を飲みきりマグを手に台所へと向かう。 「うどんで良い?」 「うどんが良い! とろろ昆布も良いけど、野菜のも食いたい」 「ははっ、どっちも美味いよな。 野菜のにとろろ昆布のっければ良い?」 「うんっ!」 コントローラーを置いた優登は、床に寝そべるとぐーっと身体を伸ばした。 それから、半身を起こし、課題のプリントをファイルから取り出す。 ゲームをしようと誘ってきたのは弟からなのに、課題もちゃんと部屋から持ってきている辺り真面目な弟らしい。 なら、美味しい昼ご飯を作って栄養をつけてもらわないと。 大根、人参、玉ねぎ。 あとは、葉物野菜と油揚げでもあれば最高だ。 けんちん汁みたいに野菜を沢山入れて腹いっぱいにしたい。 冷蔵庫を漁りながら野菜を見繕っていく。 そして、勿論、おやつには優登の作ってくれたレモンケーキ。 今から食べるのが楽しみだ。

ともだちにシェアしよう!