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第968話
後部座席のドアを開けると綾登は、あ!と声をあげた。
「ゆーと!」
「おっす」
スマホを弄っていた優登はフランクに手を上げてみせた。
一緒には保育園に入らなかったので、綾登もいないと思っていたのかなにかうにゃうにゃ喋っている。
相変わらず仲が良い。
三男をチャイルドシートに座らせると、後はやる、と優登が言ってくるのでそれに甘えさせてもらう。
ドアを閉めて、運転席へと乗り込んだ。
「あそぶ?」
「なにすんだよ」
「んー、ゲーム!」
「出た、現代っ子」
「優登も現代っ子だろ。
シートベルトした?
動かすよ」
「うぃー」の声に、舌足らずな声が重なる。
本当に仲が良い。
ゆっくりと動かしながら、買い物をすべくスーパーへとハンドルを切った。
今日のご飯はなににしようか。
冷蔵庫の中の野菜を思い出しながら運転をする。
「ごはん、なぁに?
すぱぱげてぃ?」
「あー、スパゲッティ良いな」
「スパゲッティ?
トマト?
きのこ?」
「とまと!」
「俺、両方!」
前言撤回。
今日の食事当番は簡単に済ませられそうだ。
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