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第969話

スーパーに入店すると甘酸っぱいにおいが迎え入れる。 「いちごだよ」 「ほんとだ。 良いにおいするな」 「ゆーと、いちごのケーキつくらない?」 「え…、作るのは良いけど…」 食べたいなぁ、と次男を見上げる隣で同じ様に優登を見上げてみる。 「俺も食いたいなぁ」 「兄ちゃんが言うなら作るか」 「やったぁ」 小さな手のひらとパチンッとハイタッチ。 暫くは優登の作るお菓子を食べられないので食べられる時に食べておきたい。 綾登の誕生日には帰ってくるつもりだが、果たしてそんな余裕はあるのか。 長岡はサポートすると言ってくれているが甘えっぱなしも出来ない。 そのまま小さな手と手を繋いで夕食の買い出し。 それと、頼まれている洗剤も。 「うぃんなー、たべたい」 「ウィンナー? 冷凍したやつあったっけ?」 「あったと思う」 「けちゃぷっぷ、つける」 「ケチャップつけような。 優登はなんか食べたいのねぇの?」 カゴを持って一歩先を歩く優登は、うーんと考える。 「ミネストローネ」 「美味いやつ。 材料家にあるし、買い物はねぇな。 じゃ、麺とソース買おう」

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