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第971話
「うれしっ」
「綾登、良かったね」
「うんっ!」
スパゲッティにウィンナー、サラダにミネストローネ。
昨日のおかずの残りと、これまた残りのご飯で作った焼きおにぎり。
食べ盛り2人も食べごたえのある量はある。
「いやぁ、遅くなってごめんね。
綾登の食べたかったご飯なのに待たせちゃったね」
「いいよぉ」
そんなことより早く食べたい綾登はパチッと手を合わせて、家族を見回した。
「いたあきます!」
「いただきます」
そして、先の丸いフォークでウィンナーを刺すと大きな口で頬張った。
「んー!」
にこにこと見守る両親も料理に手をつける。
この当たり前がもうすぐ毎日のことではなくなる。
不思議だ。
当たり前なのに、当たり前じゃなくなるんだ。
はじめての経験を前にそんなことを思う。
けれど、スパゲッティは美味しいし、ウィンナーも美味しい、ミネストローネも美味く出来た。
次第に食事に夢中になりそんなことは頭の片隅へと追いやられた。
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