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第973話
水もガスも使える
カーテンもつけた。
少し小腹が減るなと思ったら、昼を過ぎている。
なにか食べるものを買いに行きたいところだ。
「優登、コンビニ行くついでに駅まで歩いてみる?」
「え?」
「駅からこの部屋にくる道、まだ知らないだろ?
コンビニは腹減ったから。
もしかして、そんなに腹減ってない?」
高校から自宅とは反対方向だが、ICカードさえチャージしてあればいつでも来れる距離だ。
いつ来たって構わない。
長期休暇に泊まりに来ても困ることはない。
長岡の部屋にも行くつもりではあるが、優登が連絡もなしに部屋に来ることもほぼないだろう。
礼儀のある子だ。
なら、心配する必要はない。
「歩くっ!
腹減ってる!」
「うし。
行こ」
踏み台をそのまま、鞄を持って外に出る。
次男はワクワクした顔をしているのがなんとも可愛い。
「行こうぜ。
あ、あっちが大学な。
大学までバスで来れれば、駅目指せば来れるよ。
で、あっちに美味しい甘味屋さんあんの。
餡蜜とかすごい美味い」
「餡蜜…!」
「あったかくなったら一緒に食おう」
見知らぬ─長岡の部屋も近いので全くの初見ではないが─街を歩いていても、隣に弟がいれば近所の散歩となにもかわりはしない。
綾登がいないのが寂しいところだが。
「夏休み来ちゃお」
「おいで。
俺、仕事だけど」
「そっか。
先生は普通に仕事あるのか。
くそダル」
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