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一番の焼きもち妬きは誰だ
「ダメ遼……ご飯作らなきゃ……」
「こんな可愛い姿を見せられたら誘ってるようにしか思わない」
「昨日だって、それに、さっきも」
「全然、足りない」
台所に立つ光希に後ろから抱き付く遼成。奏音にプレゼントされたエプロンの脇から手を差し入れ、双丘を揉みながら、濃厚な口付けを交わしていた。
別れたとはいえ元彼の一央といまだに煮え切らない関係を続けていた遼成。
光希はどちらかといえばふたりの夫に尽くす貞淑で大人しい妻というイメージがあった。菱沼組の姐さんの未知や大姐さんの紫を手本に、姐さんとして決してでしゃばらず、若い衆を顎で使わず、影になりひなたになり夫と組をずっと支えてきた。
3ヶ月前、光希は入院していた一央のもとに押し掛け、顔の隣に包丁を突き立てた。
別れた男をいつまでも想うのではなく、妻子を愛し、そして支え、家族として再出発するように諭した。
予想もしていなかった光希の行動力と激情、そして愛情の深さに、遼成と龍成が惚れ直したのはいうまでもなく。それからというもの、ところ構わずふたりの夫に求められるようになってしまった、という訳だ。
「遼、光希、奏音が待ってるぞ」
龍成が顔が出した。
慌てて遼成の体を離す光希。髪を手で直しながら、広間に向かおうとした。
「光希、顔に何かついてる」
「え?嘘」
「嘘だよ」
悪びれる様子もない龍成に腕を掴まれ抱き締めれた。
「たく、困ったやつだな。まだキスしかしてない。それ以上のことをしたらぶっ殺す。先に行ってるぞ」
やれやれとため息をつきながら遼成が広間へと向かった。
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